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ビジネスジャーナル版柳瀬元首相秘書官関連記事

ビジネスジャーナル版柳瀬元首相秘書官関連記事

国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 ゴールデンウィーク(GW)も終わり、ようやく国会正常化へ……と思ったら、またまた波乱が待ち受けていました。もちろん、加計学園問題です。

 5月10日に行われた参考人質疑で元首相秘書官の柳瀬唯夫(現・経済産業審議官)さんが愛媛県職員らとの“面会”についてあいまいな答弁を繰り返したことに対して、翌11日に中村時広愛媛県知事が記者会見を開いて反論しました。こんなに素早い対応は異例といえます。

 県としても、しっかり柳瀬さんの名刺を保管していて、すぐに出してきたのは、やはり“特別”な人だからでしょう。この会見によって、週明け14日からの衆参両院予算委員会の集中審議の紛糾が確定し、私たち秘書は卒倒寸前となりました。
「中略」

柳瀬氏の不遜な態度に与党から注意?

 その法案審議の合間に、加計学園問題で柳瀬元首相秘書官を追及する参考人質疑が衆参の予算委員会で行われました。NHKで放送されたので、ご覧になった方も多いかと思います。 その柳瀬さんの態度に、野党だけでなく与党の議員も「なんてふてぶてしい。あれじゃ、政府(=安倍晋三首相)の印象がさらに悪くなる……」と驚愕していました。柳瀬さんの発言が今後の捜査に影響を与えることは明らかですから、緊張もするだろうし、言葉も選ぶ必要があったでしょう。しかし、さすがに良い印象を与えなかったようです。
「開き直りにしか見えない不遜な態度はダメだ」

 午前の衆議院予算委員会後に柳瀬さんは与党から注意されたようですが、午後の参議院予算委員会でも、言葉遣いは丁寧になったものの態度は変わりませんでした。

 また、麻生太郎財務大臣も、財務金融委員会の一般質疑で「セクハラ罪はない」という発言について追及を受けました。しかし、麻生大臣も決して謝らない人です。「財務省としてお詫びが必要」という表現はしても、「申し訳ありませんでした」とは決して言いません。14日になり、被害女性に対して「お詫び申し上げる」と語ったそうですが、いくらなんでも遅すぎます。一連の流れを見て「反省している」と思う国民はいないでしょう。

 神澤は、「正直、このようなことがセクハラにあたるとは思っていませんでした。すみません。大臣として恥ずかしい限りですが、今後は認識をあらため、精進してまいります」と答弁してほしかったです。

立憲民主党が国民民主党に激怒したワケ

 こうしたバタバタで流れ作業のような国会運営は、もちろんいいことではありません。結成されたばかりの国民民主党(民民)に至っては、内部組織も立ち上げたばかりなので、まだ「法案審査」(党として「賛成か、反対か、対案か」を検討する会議)を開くことができていません。

 民民の理事議員が理事懇で全会派の理事に「うちは党内手続きが間に合わないので、なんとか採決を延ばしてください」と頭を下げてお願いする姿も見られました。しかし、これは与党と野党の各理事懇を通してから全体の理事懇にお願いするのが通常の流れです。そのため、頭越しにされた野党筆頭理事の立憲民主党が怒り、「勘弁してよ。法案は前々から提出されていたんだから。党名を変えただけでしょ」と冷たくあしらっていました。つまり、野党同士で批判し合う始末なのですが、確かに政策会議はGWの間に進めておくべきでした。「中略」

  そもそも、なぜこんなことになってしまっているのでしょうか。その原因は、やはり野党6党の審議拒否です。野党議員の“18連休”は国民からも批判されましたが、実際には休んでいたわけではなく、党内の会議や議員連盟の会合などには出席しています。
 とはいえ、野党の国会欠席のツケを今になって払わされているということで、内心にモヤモヤを抱えている議員や秘書は多いです。それに、もともとGWは党内やボスの地元でのイベントも多いため、ゆっくり休める秘書はほとんどいません。そして、今も朝から夜中まで仕事に追われていて、モリカケ問題に始まった国会の不安定な状況が相当なストレスになっていることは間違いないです。

 GW明けには、ついに「辞めます!」と叫んだ秘書までいました。その秘書は6月の会期末での退職をボスに認めてもらうと吹っ切れたようで、みるみるうちに元気を取り戻しました。そして、毎日18時に帰るという、うらやましい生活をしています。それを見て、「本来はこういう生活が健康には一番なんだろうな」としみじみ思いました。

 逆に、ストレスからか、めまいを起こして病院に搬送された秘書仲間もいます。神澤も朝なかなか起き上がれず、軽いうつ状態です……と話したら、編集者さんに心配されてしまいました。政治資金の収支報告も5月末が締め切りなので、本当にキツくて辞めたくなります。でも、なんとかがんばりたいと思いますので、今後もよろしくお願いします。
(文=神澤志万/国会議員秘書)

ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/2018/05/post_23341_3.html
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ビジネスジャーナル版柳瀬元首相秘書官関連記事その2

「ゆるぎない信頼 誇れる公務」

 これは、国家公務員倫理審査会が毎年募集している「国家公務員の倫理感を高める、心に響くキャッチフレーズ」の、昨年度の最優秀作品だ。

 その「信頼」は、昨年来の森友・加計問題や自衛隊日報問題などで崩れ落ち、「ゆるぎない」どころか、もはや惨憺たるありさまになっている。そんななかで行われた、柳瀬唯夫・元首相秘書官の参考人招致は、信頼崩壊のだめ押しとなってしまったのではないか。

都合の悪いことは国民から隠す安倍政権
 参考人招致の前、柳瀬氏は「誠実にしっかりと国会で話したい」と述べていた。確かに彼は、ボスである安倍晋三首相に対しては「誠実に」、というより「忠実に」ふるまった。一方で、国民全体に対しては、極めて不誠実な態度に終始したと言わざるをえない。

 それを象徴するのが、2015年に3度にわたって行われた加計学園関係者との面会は認めながらも、それについて一度も「総理に報告したことはない」と言い切ったことだ。

 常識では、ありえない。

 何人もの首相秘書官経験者を含めた元公務員たち、あるいは政治畑のジャーナリストらも「ありえない」と断じた。何かと安倍政権を擁護するコメントをしてきた解説者までもが、「私でさえおかしいと思う」と述べて、スタジオの失笑を買ったほどだ。

 どんなに荒唐無稽な言い分でも、首相に報告した証拠がなければ虚偽答弁の証明はできないだろうと高をくくっているとしか思えない。

 不誠実さを象徴するもうひとつのやりとりは、前回の参考人招致の際には「記憶にない」を繰り返した理由を聞かれた場面であった。彼は、前回の招致の時点で「加計学園関係者と会った記憶はあった」という。それなのに語らなかった理由を問われ、こう述べた。

「これまで、個々のご質問に対し、一つひとつ答えて参りました。しかしながら、私が質問にあったことだけをお答えした結果、全体像が見えなくなって、国民の方にもわかりづらくなり、国会審議にも大変ご迷惑を掛けして、大変申し訳ありませんでした」

 聞かれなかったから言わなかった。こういう開き直りを、慇懃無礼な言い回しで淡々と、よどみなく述べる彼の表情からは、なんの感情も読み取れなかった。Q&Aの予定稿を頭に叩き込み、それをアウトプットしてみせた、という体であった。

 前回の招致の際にも、問題になっていたのは、国家戦略特区制度を利用した獣医学部新設をめぐり、安倍首相の親友が経営する加計学園を優遇する不公平な取り扱いがあったのではないか、という疑惑だ。今治市職員との面会についての質問は、その疑惑解明のために行われたことは言うまでもない。それなのに、肝心の加計学園との面談を伏せたという彼の態度からは、動かぬ証拠を突きつけられるまで、不都合なことは隠しておく、という強い意思が読み取れる。

 うやむやのまま済ませようとしたのに、愛媛県が作成した面会時の記録に「首相案件」との発言が記載されていることから、首相を守る防波堤として、再び駆り出されたのだろう。安倍首相は、加計学園獣医学部新設の計画を知ったのは「2017年1月」と国会答弁しており、柳瀬氏は2015年4月の面談は首相の耳に入らなかったと断言して、面談と首相を遮断する役割を託されたといえる。

 彼の答弁を「嘘」と喝破したのが、中村時広愛媛県知事だ。同県職員の記録や名刺という物証に支えられた中村知事の主張と、「記憶」だけの柳瀬氏の言い分のどちらに信用性があるかは明らかだろう。

 証人喚問であれば、偽証罪の制裁があるため、虚偽を述べるハードルは高くなったが、それは与党が頑として応じなかった。野党は中村知事の参考人招致を求めたが、それも与党の反対で実現しない。政府、与党を挙げて、安倍首相を守るために、国民が求める真相解明を犠牲にしていると言わざるをえない。「中略」本当に「ほかに適当な人がいない」のか
 それでも、内閣支持率底堅い。従来の政権であれば、吹っ飛んでおかしくないような問題がいくつも起き、支持率が急落したとはいえ、各社の世論調査では3割前後の支持は揺るがない。最新の共同通信世論調査では、柳瀬氏の答弁に「納得できない」が77.5%に達したが、それでも内閣支持率は38.8%で、前回よりむしろ微増している。支持の理由は「ほかに適当な人がいない」42.0%が、「経済政策に期待できる」16.5%、「外交に期待できる」16.1%を大きく上回る。そうした理由から、政府の不正直、不誠実に、日本の3分の1以上の国民が、寛容な態度を示していることになる。

 しかし、国民に対して不正直ということは、本来、民主政治にとって致命的な欠陥のはずである。

 第37代アメリカ大統領のリチャード・ニクソン氏といえば、ウォーターゲート事件が思い浮かぶが、この疑惑が持ち上がるまでの彼は、泥沼状態のベトナム戦争から米軍の撤退を実現させて和平調停に調印し、ソ連とのデタント(緊張緩和)を進め、中華人民共和国を訪問して国交樹立の道筋をつけるなど、外交で赫々たる成果をいくつも上げた。支持率も高かった。

 その彼が辞任に追い込まれたのは、民主党本部に侵入して盗聴器を仕掛けたウォーターゲート事件本体への関与が明らかにされたからではない。事件をもみ消す工作に関与したことについて、虚偽を述べ続け、資料を隠し、提出した資料にも改ざんを加えるなど、真相解明を妨害する不誠実な態度を重ねたことが、国民の強い反発を招き、彼自身を追い詰めたのだ。

「中略」

 疑惑が報じられた初期の段階で、ニクソン大統領自身がもみ消し工作への関与を率直に認め、国民に謝罪していれば、それまでの功績を評価する者たちから擁護の声が上がっただろうし、辞任にまで追い込まれなかったかもしれない。

 クリントン大統領が弾劾裁判にかけられ、批判を受けたのも、研修生との「不適切な関係」について、裁判で虚偽の証言をし、国民に対しても嘘をついたからだった。結局彼は事実を認め、テレビ演説で国民に謝罪している。

 ただ、アメリカでも、トランプ大統領になってから、状況はずいぶんと変わったようである。トランプ大統領とロシアとの関係をめぐる疑惑でも、大統領の側近らが、連邦捜査局(FBI)に偽証したことが明らかになったが、トランプ大統領自身はむしろFBIを攻撃。コミー長官は、ロシア疑惑の捜査途中で解任された。司法妨害ではないかとの批判は、大統領支持者には響かないようだ。

 コミー氏は、出演したテレビ番組のロングインタビューに応じ、トランプ大統領について、こう語った。

「大統領は、この国の根幹にある価値観に忠実でなければならない。最も重要な価値は真実だ。この大統領にはそれができない。道徳的に、大統領として不適格だと思う」

 トランプ大統領は、指摘された問題点に答えるのではなく、ツイッターで「歴史上で最低最悪のFBI長官」などとコミー氏を罵倒。同氏の回想録は、発売から1週間で60万部が売れるベストセラーとなっているが、トランプ大統領は再びツイッターで「無力で不正直な、嫌なやつ」と非難し、反撃している。

 トランプ大統領の嘘をメディアがいくら報じても、大統領は国民に対して誠実に説明しようとせず、メディアの側を「フェイクニュース」と言い放って終わりにしてしまう。

 そんなトランプ氏の支持率は、高くはないが底堅く、北朝鮮金正恩労働党委員長との会談への期待もあって、じわじわと上がっている。

 ほかに適当な人がいないといった消去法や、この人なら自分の生活がよくなるかもしれない、とか外交で成果を上げそうだなどの期待から、真実への謙虚さや国民に対する誠実さが置き去りにされても大目に見るという風潮は、国や社会をどのように変えていくのだろうか。アメリカも、そして日本も--。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

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