「国会議員の3分の2の賛成」という高いハードルに行く手を阻まれ、いまだに悲願の憲法改正に着手できずにいる安倍政権だが、国会で与党が多数を占めている間に、数の力で違憲の法律を作ることで、着々と「事実上の改憲」を進めている。
刑事司法改革関連法案の審議が2016年4月14日、参議院で再開された。警察と検察の取り調べを録音・録画する可視化の義務づけや司法取引の導入などが柱で、昨年8月に衆院で可決されたが、その後は継続審議となっていた。
【IWJブログ】「盗聴法・拡大法案」が参院で審議入り!不完全な「取り調べの可視化」に騙されるな!年間10万件の盗聴大国・イタリアを夢見る警察庁の思惑を暴く! 2016/04/30
「取り調べの可視化」が冤罪防止につながるとして法案を歓迎する声もあるが、話はそう簡単ではない。取り調べの可視化によって容疑者から自白や供述を得にくくなる代わりに、「盗聴法」の大幅な拡大が求められているのだ。「通信の秘密」を保障する憲法21条に違反する可能性が高く、これも特定秘密保護法や安保関連法制と同様の「事実上の改憲」と受け止め、強く警戒する必要がある。大メディアのサボタージュのせいもあり、今、この問題に対して、あまりにも世間の関心が低すぎる。
[中略]
「公権力性善説」を信じられるか?~警察による違法な盗聴事件「緒方宅盗聴事件(日本共産党幹部宅盗聴事件)」
事業者の立ち会いをなくしてしまえば、警察による盗聴の乱用を防ぐ担保がなくなってしまう。監視の目がなくなり、安易に盗聴捜査に依存することになることは必至だ。
日本国憲法第21条第2項には、「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」と明確に定められている。「通信の秘密」の保障は、私生活の自由、プライバシーの権利にかかわる重要な権利だが、この権利が警察署という「密室」で蹂躙されたとしても、一般国民はこれを察知するすべがない。
警察は絶対に不当な盗聴などしない、という「公権力性善説」に賭けるか、あるいは警察内部に善意の内部告発者がいることに期待を託すしかない。だが、そんなことは現実に期待できるだろうか?
危機感と関心もて!不完全すぎる盗聴法を!!