参院選では、昨年成立した集団的自衛権行使を裏付ける安全保障関連法の是非が争点の一つだ。与党が抑止力向上を強調するのに対し、民進、共産、社民、生活の4野党は市民団体ともタッグを組んで廃止を訴えている。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関しては、与党、野党とも温度差を抱える。
自民党は、安保法に基づき「あらゆる事態に切れ目のない対応が可能な態勢を構築する」と明記。島しょ防衛強化などを想定したものだ。公明党も外交努力との両輪による「抑止力向上」を唱える。
4野党は、立憲主義に反するとして安保法廃止を求める。ただ、安全保障に関し、民進党は「日本周辺」に限定した日米の共同対処能力の向上を目指しており、「平和的対案」として憲法9条に基づく近隣外交を呼び掛ける共産党とは方向性が異なる。
おおさか維新の会は、集団的自衛権の行使要件を厳格化し、日本周辺の同盟国軍に限定する対案を掲げる。
辺野古移設については、自民党は「推進」の立場だが、公明党は同県本部が県外移設を求めてきた経緯もあり、公約で移設に触れていない。
(中略)
◇地位協定も焦点
沖縄県での米軍属による女性暴行・殺人事件を受け、在日米軍の法的地位を定める日米地位協定の見直しも焦点に浮上した。抜本改定を求める県民世論を背景に、共産、社民は全面「改正」を主張。民進党は「改定を提起」とやや控えた表現で、自民党は「あるべき姿を検討」するにとどめた。
このほか、日本のこころを大切にする党は、領土問題や歴史認識問題に関して対外発信を強化する専門部署の創設をうたった。(2016/06/27-17:41)