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種子法廃止への備え+アメリカがISDS否定した!

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3 種子法廃止後の都道府県の役割
(1) 都道府県に一律の制度を義務付けていた種子法及び関連通知は廃止するものの、都道府県が、これまで実施してきた稲、麦類及び大豆の種子に関する業務のすべてを、直ちに取りやめることを求めているわけではない。
 農業競争力強化支援法第8条第4号においては、国の講ずべき施策として、都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進することとされており、都道府県は、官民の総力を挙げた種子の供給体制の構築のため、民間事業者による稲、麦類及び大豆の種子生産への参入が進むまでの間、種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、それを民間事業者に対して提供する役割を担うという前提も踏まえつつ、都道府県内における稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給の状況を的確に把握し、それぞれの都道府県の実態を踏まえて必要な措置を講じていくことが必要である。 
5 民間事業者への種苗の生産に関する知見の提供
(1) 農業競争力強化支援法第8条第4号に基づき、今後、国の独立行政法人だけでなく、都道府県(試験研究機関)から、種苗の生産に関する知見を民間事業者に提供する事案が増加すると考えられる。

 下線は筆者が引いたが、そこだけつなげれば、「都道府県が、これまで実施してきた稲、麦類及び大豆の種子に関する業務のすべてを、直ちに取りやめることを求めているわけではなく、民間事業者による稲、麦類及び大豆 の種子生産への参入が進むまでの間、種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、それを民間事業者に対して提供する役割を担う」となる。

 これは、「優良な種の安価な供給には、従来通りの都道府県による体制が維持できるように措置すべきだ」という付帯決議に真っ向から反して、早く民間事業者が取って代われるように、移行期間においてのみ都道府県の事業を続け、その知見も民間に提供して、スムーズな民間企業への移行をサポートしろ、と指示している。つまり、至れり尽くせりで、早くグローバル種子企業がもうけられる下地を農研機構や都道府県が準備することを要請しているだけだ。これでは国民の命の源の種がグローバル種子企業に握られ、高騰し、主要食料の生産も消費も自在に操られてしまうのを助長するだけである。

 もう一度確認すると、種子法の廃止法の附帯決議には、次のような内容が記されている。

種苗法に基づき、主要農作物の種子の生産等について適切な基準を定め、運用すること。
・主要農作物種子法の廃止に伴って都道府県の取組が後退することのないよう、引き続き地方交付税措置を確保し、都道府県の財政部局も含めた周知を徹底するよう努めること。
・主要農作物種子が、引き続き国外に流出することなく適正な価格で国内で生産されるよう努めること。
・特定の事業者による種子の独占によって弊害が生じることのないよう努めること。

 「附帯決議は気休めにもならない」と前に指摘したが、附帯決議のどの項目にも、それに配慮してどう対応するかはまったく記されていないどころか、附帯決議の主旨を真っ向から否定して、ただただ民間への円滑かつ迅速な譲渡・移行を促すだけの通知が出されるとは驚きである。

「中略」

■「種子法廃止で、どうなる?国民生活」

*そもそも種子法とは? 米麦・大豆の種について、国が予算措置をして、都道府県が優良な品種を開発し、安く安定的に農家に供給することを義務付けた法律です。

*なぜ、つくられた?
 米麦のような基礎食料は人の命の源で、さらにその源が種なので、国や県が責任をもって農家に良い種を安く提供し、国民への主要食料の安定供給を図るのが不可欠という考えから制定されました。

*今回、廃止になる理由は?
「民間企業の参入を促進して生産資材の価格を下げるため」というのが表向きの理由ですが、安く供給するために、国と県が携わってきたのをやめたら、種の価格は上がってしまうのが当然の帰結です。
 一方、関連法で、これまで県が開発した種の情報は民間に提供しろと義務付けていますので、グローバル種子企業は、材料をただで入手して、遺伝子組み換えなどをして、独占的な販売権を得て、高く売って利益を得られます。これを可能にしてあげるが本当の目的ではないでしょうか。

*なぜ、議論もなく、突然、あんなに急いで決めたのか?
 ちゃんと議論すると、たいへんな問題だとわかってきて反対が強まるので、他の法案とセットで、一連の法案の中に滑り込ませて、急いで採決してしまった、ということでしょう。

*きっかけは、やはり、アメリカの圧力があったのでしょうか?
 合理的推測として、そう考えるのが自然だと思います。

*廃止になって、どんな影響がおこる? プラスの点と、マイナス面は? 米麦の種子の値段が高くなるので、その分、農家経営にはマイナス。できた作物価格も上がるので消費者にもマイナス。 グローバル種子企業にとってもうかる遺伝子組み換えの種などしか販売されなくなり、在来の多様な種資源が失われ、消費者も選択の幅がなくなっていきます。不作が生じると全滅して基礎食料の国民への供給ができなくなるリスクも高まります。
 プラスの面はグローバル種子企業がもうけられること。

*長い目で見ての生活への影響は? 対策法はある?
 一部の種子企業によって米麦のような主要食料の生産と消費がコントロールされ、生産者も消費者も遺伝子組み換えでないものを選択できる余地が減っていく可能性があります。つまり、グローバル種子企業に国民の命が操られてしまうということです。
 遺伝子組み換えに不安をもつ消費者は、生産者に働きかけ、在来の多様な種を守って、生産・消費していくための消費者と生産者と道県行政による強固なネットワークを形成する必要があります。
 また、以前に日本で、グローバル種子企業が日本のある県の農業試験場と遺伝子組み換えのコメの共同開発・商品化を試みましたが、58万人もの反対署名が集まり、断念した経緯があります。このような消費者による意思表示が最終的には事態を変えられることを忘れてはなりません。

種子法廃止に備えた「通知」の本質|コラム|JAcom 農業協同組合新聞

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 悪名高きISDS(Investor-State Dispute Settlement)条項は、米国とそれに盲目的に追従する日本の2国がTPP(環太平洋連携協定)で強く推進し、他国は反対だった。日欧EPA(経済連携協定)では、EUも反対し、そしてNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉で、何と、ついには「震源地」の米国がISDSを否定する事態となり、米国に追従してISDSをバラ色と言い続けた日本だけが「はしごを外され」、孤立するという恥ずかしい事態となってきた。
 確かに、「儲かるのはグローバル企業の経営陣のみで国民の暮らしは苦しくなる(賃金は下がり失業は増える)」「国家主権の侵害だ」「食の安全が脅かされる」との米国民のTPP反対の声は大統領選前の世論調査で78%に達し、大きなうねりとなって、トランプ氏にかぎらず大統領候補全員がTPPを否定せざるを得なくなった。これが米国がTPPを破棄した背景である。
 この「国家主権の侵害」というのは、もちろんISDS条項のことである。グローバル企業が引き起こす健康・環境被害を規制しようとしても、逆に損害賠償を命じられるという条項である。簡単に言うと、米国企業が日本にやって来て、水銀を垂れ流すような操業を始めようとしたら日本は当然規制する。ところが米国企業は、その規制によって生じた損害を国際司法裁判所に訴える。こんなことが実際に起きて、米国企業が勝って損害賠償させられて、その規制も廃止される。こんな莫迦なことが、いまどきできるのかと思われるかもしれないが、本当にできるのがISDSである。
 NAFTAにおける訴訟の状況を見ると、勝訴または和解(実質的勝訴)しているのは米国企業だけであり、国際法廷の判決が米国企業に有利と言われてきた。だから、「今だけ、金だけ、自分だけ」のグローバル企業と結びつく米国政治家はISDSを強く推進しようとした。

鈴木宣弘先生のコラム【食料・農業問題 本質と裏側】NAFTAにおける仲裁付託案件(2017年3月外務省資料)

 しかし、その米国で、連邦裁判所でなく国際法廷が裁くのは「国家主権の侵害」との声が大きくなり、ISDSを推進したいグローバル企業と結びつく政治家の声を抑えて、トランプ政権はISDSを否定する方向に舵を切った。NAFTAの再交渉では、以前からISDSへの反対の声が強かった米国労働総同盟産別会議(AFL・CIO)や環境保護団体シエラクラブなどの市民グループに加え、2017年9月には中小企業の社長100人が連名でISDS条項削除を求める手紙を出し、最高裁首席判事のジョン・ロバーツ氏も同条項に懸念を表明した。

 こうした中で、米国政府は「選択制」を提案した。これは、訴訟が起きたときに、国際法廷に委ねるISDSを使うか、国内法廷で裁くかは、各国が選択するというものであり、米国は国内法廷で裁く(ISDSは使わない)と提案したのである。カナダとメキシコはそもそもISDS削除を求めていたので、かりに米国提案の選択制を受け入れたとしても、やはりISDSは使わない選択をすることは明白である。つまり、米国提案の選択制はNAFTAにおいて実質的にISDSを否定することになる。「中略」
 この期に及んで、「死に体」のISDSを日本だけが、いつまで固執するのだろうか。自身でしっかり考えず、盲目的に米国に追従して「はしごを外される」哀れな国から早く卒業すべきである。

ついに米国もISDS否定~世界に取り残された、哀れな日本|コラム|JAcom 農業協同組合新聞

 

情けないとも思わんのか!?ニッポン!